岩崎書店のブログ

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カレーライスをはじめて食べた日本人は、江戸時代にすでにいた?

こんにちは、キタガワです。

岩崎書店より、調べる学習百科『カレーの教科書』が刊行されました。

  

調べる学習百科 カレーの教科書

 

ページをめくっているとこんな言葉が目にとびこんできました。

「もし、江戸時代にカレーがあったら」

f:id:kiix:20170825153000j:plain『カレーの教科書』江戸時代カレーのレシピもばっちり載っています。どんな味がするのでしょう。

 

江戸時代に、カレーを食べていた日本人がいたのでしょうか……?

 

興味がわいたので、『カレーの教科書』を編集された石倉ヒロユキ先生にお話をうかがいました。

 

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石倉ヒロユキ

アートディレクターとして、食関連の書籍を多く制作。エッセイストで絵本作家。料理、園芸など手の届く場所で、小さな生活の楽しみを日々作り出す名人。著書として、『ほぼ1円の家』、『ベランダ菜園』(以上、NHK出版)など多数。

 

カレーライスをはじめて食べた日本人は誰?

キタガワ 石倉先生、よろしくお願いします。さっそくですが、江戸時代に、カレーを食べていた日本人がいたのでしょうか?

 

石倉 明治4年に山川健次郎という少年がアメリカへ渡る船の中でカレーライスを食べて、びっくりしたという記録があります。

 

キタガワ 江戸時代ではなくて、明治時代?

 

石倉 定説では明治時代です。ただ、厳密にいえば「記録が残っている一番古いもの」ということで、日本人の誰がはじめにカレーライスを食べたのか、本当のところは分からないですよね。

 

f:id:kiix:20170825154200j:plainイラストの山川青年が泣いているのは、カレーが口に合わなかったから?

 

キタガワ 石倉先生は、日本にカレーが入ってきたのはいつ頃だと思いますか?

 

石倉  カレーの定義はあいまいなのですが、ここではスパイスを使って野菜などを煮込んだものをカレーとします。すると、日本でカレーが作られた可能性が高いのは、16世紀ごろポルトガル人が交易で定期的に訪れていた時代ではないでしょうか。

 

キタガワ カレーはインドの食べものですよね。ポルトガル人ですか?

 

石倉 ポルトガル船では、インド人や東南アジア人が水夫やキッチンボーイとして働いてたんです。彼らの郷土料理を、ポルトガル人も食べていたと思いませんか? ポルトガルから日本へは、およそ1年の航海になります。その間、植民地を経由して、何かを下ろして何かを積んでを繰り返します。船員たちの食材としてスパイスがたくさん積まれていたことは、容易に想像できますよね。 

 

キタガワ なるほど。ポルトガル船で働くインド人がカレーを作ったかも。それをポルトガル人が食べたかも。ポルトガル人が日本人にも振舞ったかも。色々なストーリーが見えてきますね。

 

石倉 信長の時代(16世紀)には自由に外国と貿易をしていました。黒人が一緒に江戸まで上がってきたという記録もたくさん残っています。食文化がいっしょに入ってくることも十分考えられるわけです。

 

 

 

江戸時代にもけっこうスパイスがあった

キタガワ カレーといえばスパイスですね。江戸時代のスパイス……あまり思い浮かびません。

 

石倉 カレーのスパイスといえば、まずはトウガラシ。日本にはインドを経由して、16世紀くらいには入ってきたと思われます。

 

f:id:kiix:20170825182848j:plain石倉先生が企画された小学館の図鑑NEO『野菜と果物』より。

 

石倉 カレーにかかせないウコンも、江戸時代にはすでにありました。こうして文献を調べていくと、江戸時代にはクミンやコリアンダー、山椒もあったことが分かります。

 

f:id:kiix:20170825172414j:plain和漢三才図会』江戸時代の百科辞典のようなもの。ありました、ウコンです!

 

f:id:kiix:20170825173551j:plain『内外穀菜辨覧 前篇』 東京三田育種場。明治時代の、いわゆる野菜のカタログだそうです。

 

江戸時代、カレーに入れるならどの野菜?

キタガワ 江戸時代にもスパイスがたくさんあったんですね。では、野菜事情はどうだったんでしょうか? ニンジン、ジャガイモ、タマネギはあったんですか?

 

石倉 ニンジンは、紫ニンジン、金時ニンジンなどの和種が古くからありました。

 

キタガワ ジャガイモとタマネギはどうですか?

 

石倉 ジャガイモは江戸時代には日本に入ってきていましたが、栽培が活発になったのは明治時代です。タマネギも明治以降に北海道で作られるようになりました。

 

キタガワ じゃあ、江戸時代のカレーはニンジンだけですか……(がっかり)

 

石倉 僕だったら、ジャガイモの代わりにサトイモを入れます。サトイモは日本原産の野菜ですから。タマネギの代わりには、葉ねぎなど、日本に古くからあったねぎを入れます。また、香りの強いノビルや行者にんにくも江戸時代にはあったので、入れたいですね。

 

キタガワ わあ、おいしそうですね!

 

f:id:kiix:20170825172211j:plain『本草図譜』江戸後期の本草書。約2000種の植物を写生・彩色し、山草・湿草・毒草などに分類したもの。

 

f:id:kiix:20170825184509j:plain『本草図譜』サトイモがありました。木版が美しいです。

  

f:id:kiix:20170825180813j:plain鹿児島島津藩による『成形図説』(復刻版)。農書にして本草図譜。

 

f:id:kiix:20170825180807j:plain『成形図説』(復刻版)。ありました、ねぎです。葱坊主がかわいらしい。

 

キタガワ こうして文献を調べると、当時の人びとの生活を想像できておもしろいですね。江戸時代にカレーを食べている人がいたかもしれないと思いながら、私もカレーを作ってみたくなりました。石倉先生、興味深いお話をありがとうございました。

 

 

国語・社会・理科・家庭科・美術など、教科の視点からカレーを取り上げた1冊。

調べる学習百科 カレーの教科書

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 伝統野菜を調べて江戸時代のカレーをつくろう!

調べる学習百科 日本の伝統野菜

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 石倉先生の絵本。このかわいいお野菜たちはカレーになります。

ママと赤ちゃんのたべもの絵本 (2) おやさいとんとん

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 野菜の全てがここに。一家に一冊。

小学館の図鑑 NEO 野菜と果物

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 投稿者:キタガワ