岩崎書店のブログ

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そんなところまで打ち合わせするんですか!? 壮大な世界が広がる『いきもの特急カール』(後編)

「そんなところまで打ち合わせするんですか? 壮大な世界が広がる『いきもの特急カール』前編」の続きです。 

木内さんの描く建築物

岩崎夏海(以下 岩) 木内さんの描く建築物が非常にお上手なんですよね。

木内達朗さん(以下 木) カールの家はジャン・プルーヴェの建築物である、エヴィアンのカシャ鉱泉センターホールをモデルにしています。

木内達朗 及川賢治 いきもの特急カール 岩崎書店のブログカールのお家です
木内達朗 及川賢治 いきもの特急カール 岩崎書店のブログエヴィアンのカシャ鉱泉センターホール

 これはカールの家のスケッチです。

木内達朗 及川賢治 いきもの特急カール 岩崎書店のブログ


及川賢治さん(以下 及) パースを意識していますか?

 はい。3Dのソフトを使って、この角度からは、どんな風に見えるかなと試したりもしました。

 3Dで検証されているんですね。建築家のスケッチみたいですよね。

 そんな大したものじゃないですけど、一応モデルはあるという感じで。ほとんどのものにモデルがあるんじゃないんですかね。

 僕はすごく日照が気になったので、位置関係がわかるように、地図を木内さんが描いてくださって、それが絵本の見返しになっています。

 

木内達朗 及川賢治 いきもの特急カール 岩崎書店のブログ

 日の入る角度も考えていて、岩崎さんがこちらから光が入ったほうがいいというアドバイスをもらうこともありいろいろと試行錯誤していますが、誰か見て気付く人いるかなと思いながら(笑)

 そういうこだわりって、直接的には伝わらないかもしれませんが、なんとなくパワーとして伝わるんですよね。

 そう言ってもらえると、やったかいはあるのかなと思います。

 全ページかっこいいですよね。構図がほんとにかっこいい。

 ありがとうございます。

 

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そんなところまで打ち合わせするんですか!? 壮大な世界が広がる『いきもの特急カール』(前編)

岩崎書店から発売した絵本、『いきもの特急カール』の刊行イベントが、3月11日に青山ブックセンター本店にて行われました。

『いきもの特急カール』が完成するまでの道のりを、作者の木内達朗さんがラフ画なども含めて振り返っていきました。

そして今回は、木内さんたってのご希望で、100%ORANGEの及川賢治さんにも、お越しいただきました。

司会は『いきもの特急カール』編集担当の、岩崎書店社長岩崎夏海でお送りします。 

 

木内達朗 及川賢治 いきもの特急カール 岩崎書店のブログ

 

 木内達朗 きうちたつろう
1966年、東京都生まれ。
国際基督教大学教養学部生物科卒業後、渡米。Art Center College of Design卒業。
イギリスRoyal Mailのクリスマス切手、ニューヨーク・タイムズのイラストレーション、ペンギン・ブックスの書籍装画など国際的に活動。ボローニャ国際絵本原画展、アメリカン・イラストレーション年鑑等入選。2005年講談社出版文化賞さしえ賞受賞。

 

 及川賢治(100% ORANGE)おいかわけんじ
イラストレーター。 100% ORANGEは及川賢治と竹内繭子の2人組。
東京都在住。
イラストレーション、絵本、漫画、アニメーションなどを制作している。

 

木内さんのオリジナル、新感覚機関車絵本 

いきもの特急カール

木内達朗さん(以下 木) 本日はたくさんの方にいらしていただいて、どうもありがとうございます。そして、イベントのタイトル「本における絵の価値ってどれほどなんですかね? を考え、語る1時間半」という、ちょっと難しいタイトルが、知らない間についてたんですよね(笑)

(会場笑い) 

及川賢治さん(以下 及) 木内さんが随分難しいタイトルをつけてきたなって、ハラハラしてたんですけど(笑)、ご自分でつけたんじゃないんですね。

岩崎夏海(以下 岩) 許可も得ずに僕が勝手につけました(笑)。それでは、お二人ともよろしくお願いします。

 まずは、この絵本を作ることになったきっかけを、話していこうと思います。最初は、岩崎さんからメールで絵本制作の依頼がきました。僕は絵を描くだけだと思っていましたが、いざお会いして話を聞くと、文章も含めオリジナルとして、作ってほしいということだったんです。今まで、オリジナルで作った絵本は、『のっていこう』という福音館書店から出ている1冊だけなんですね。

 『のっていこう』いいですよね。

 ありがとうございます。しかも機関車トーマスにかわるような、シリーズで長く愛されるものを作ってほしい、という具体的な依頼がありました。

もともと、イラストレーターというのは、依頼主からテーマがきて、そのテーマの範囲内で、何か面白い絵を作るという仕事だと思っています。そういった意味では、俄然やる気が出ました。

 その依頼は、結構ハードル高い依頼ですよね?(笑)

 ちょっと高いですよね。それで、イラストレーターとしての職人魂を発揮しそうになっている場面をお見せします。

(会場笑い)

木内達朗 及川賢治 いきもの特急カール 岩崎書店のブログ(右)木内達朗さん

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子どもが頭を打っただけなのに「逮捕」!?

第4回目となる、児童虐待のテーマ。

小児脳神経外科医の藤原一枝先生に、子どもの虐待の疑いをはらすことの難しさ、増える冤罪についておまとめいただきました。

 

藤原一枝

藤原QOL研究所 代表

元・東京都都立墨東病院脳神経外科医長

愛媛県松山市生まれ。岡山大学医学部卒業後、日赤中央病院(現・日赤医療センター)小児科・国立小児病院(現・成育医療センター)小児神経科を経て、1974年から東京都立墨東病院脳神経外科勤務。1999年藤原QOL研究所設立。2012年からの中学1,2年の武道必修化に対し、青少年の柔道事故死の中に脳振盪軽視があることを分析し、警告を発した。国際的なスポーツ脳振盪評価ツール(SCAT)を翻訳し、公開している。

出版物は「まほうの夏」「雪のかえりみち」(共に岩崎書店)など児童書のほかに「おしゃべりな診察室」「医者も驚く病気の話」「堺O-157 カイワレはこうして犯人にされた!」など。

  

過去の記事はこちらから↓

第1回

明日はわが身? 子どものケガでお縄頂戴!? - 岩崎書店のブログ

第2回

今、この日本で虐待の容疑がかからないようにするには ~人の子どもを抱っこしたばかりに、虐待の容疑をかけられることもある! - 岩崎書店のブログ

第3回

チャイルドファーストだけではおかしい。科学的根拠と人権に目を! - 岩崎書店のブログ 

 

 

 

子どもの虐待の疑いをはらうことは、

満員電車での痴漢の疑いをはらすよりむずかしい!

 

児童虐待の判決の根拠は推定だった 

 

2018年3月13日、大阪地裁は2014年12月に頭に重症を負った生後1カ月の長女に対する傷害罪で、母親に懲役3年執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。

長瀬敬昭裁判長は「激しい揺さぶりがあったと推認される」としたのでしたが、この裁判の争点は「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)」だったかどうかでした。

 

弁護側は、原因を「当時2歳だった兄によるベビーベットからの引きずり落としや投げつけ」としましたが、判決は「揺さぶられた可能性が高い」とする検察側医師らの鑑定結果を信用できると判断し、下されたそうです。

 

 

痴漢冤罪との類似点

 

この判決が執行猶予付きの有罪判決だったことは、それでも一歩前進だそうです。

裁判官にSBSだと決めつけられないタメライがあった、とみればです。

 

私はこの判決を聞きながら、これは痴漢の冤罪の構造と同じではないかと思いました。

 

疑われて冤罪になった人は「誰によって」「何によって」を、証明することもできないし、ましてや再現したりなんてできないからです。

 

虐待も痴漢も、裁く側の憶測と供述の信用性が頼りで証拠が出せない。

 

周防正行監督の映画『それでもボクはやっていない』(2007年)が思いだされます。

 

60代の男性がこう言いました。

「一度、痴漢と疑われたら、冤罪でも、覆すことはできないだろう。生きにくいご時世になったよ。僕は満員電車では、両手を上げて立っているよ」

 

別の中年の男性はこう話します。

「私は高校生のときに、新宿駅で痴漢にまちがわれたことがあります。電車が到着し乗車口にいると、急に私の前に女性が割りこんできて、ドアが開くと同時に後ろからたくさんの人が入ってきました、私は両手に荷物を持っていたので、手は下の方にありました。

そして私の後ろからきた男性が私の前にいた女性のスカートをめくり、お尻をさわって、すぐに奥の方に逃げていきました。

女性は振り返って真後ろにいた私をにらみつけて、『なにするのよ!』と言い、私を犯罪者扱いして、そのまま別のところに行ってしまいました。

私は男性の行動があまりにも素早く、あっけにとられていました。

もし、あのとき、女性が警察を呼んでいたら、私はまちがいなく痴漢の犯罪者になっていたと思います。

今ほど痴漢の問題が社会で騒がれていなかったのが幸いだったかもしれません。

 今、私はエスカレーターに乗るとき、前に女性がいるときは必ず一段ステップをあけて乗りますし、満員電車に乗るときはできるだけ女性の近くに寄らないようにし、どうしても女性がいる場合は両手をつり革にかけるようにしています」

 

痴漢と疑われない対策は、限界があるでしょうが、まだ自己防衛という手段があるかもしれません。

 

しかし、子育て真っ最中の親で「子どもに絶対にケガはさせません。病院に行くようなこともありません」と言い切れる人がいるでしょうか?

 

ドキドキ、ハラハラの連続の日々、想定外の行動をするのが子どもです!

 

孫のいる知り合いは大阪地裁の判決を知り、二つの次のような感想をもらしました。

「児童相談所の判断で、ケガした子どもと引き離される危険を避けるためには、

親や大人が子どもを注意深く見守ったり、接するしかないのかな」

 

「通報する医師も、『この親が虐待をするような人かどうか』、人間観察の技術も磨いてもらわなくちゃね」

 

すぐに、私は叫びました。

 

「エー、そんな甘いことや おまへんで!!」

 

児童虐待防止に関わっている人のマニュアルには、こんな文章もあるのですよ。

 

「養育者が加害を自白することが少ない上、虐待をしている人でも“健全な養育者に見えることが多いため”、医療者から出された診断を児童相談者が信用しないといった事態も発生し……」

 

つまり、痴漢だと訴えられた人と同じように、警察や関わる人たちは、子どもを連れてきた親などを、「見逃して、子どもを死なせてはいけない」と考えて、最初から容疑者扱いをするのです。

 

人は疑ってかかれ、と言わんばかりです!

 

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絵本で脳が活性化? 老人ホームは文化発信の場所 〜特別養護老人ホーム 壱岐のこころ〜

こんにちは。岩崎書店ブログ管理人の大塚芙美恵です。

 

いきなりですが、みなさんは、近年、絵本が大人にも人気であることをご存知でしょうか?

 

神保町の有名な絵本屋である、ブックハウスカフェさんには、連日沢山の大人のお客様がいらっしゃっていて、なんと夜間はお酒も飲めるんです!

絵本をエンターテイメントとして楽しむ方、また子ども時代の記憶に浸り、穏やかな気持ちで読む方など、絵本を楽しむ大人の姿が、そこには沢山いらっしゃいました。

 

絵本を幅広い年代に楽しんでもらっている今、岩崎書店では、ご高齢の方にも、児童書を読んでいただきたいと思っています。

岩崎書店が出版している本の中には、昔の道具の図鑑や、ロングセラーの絵本などがあります。こちらを読みながら、昔を思い出し、思い出を語り合ってほしいと思ったからです。

というのも、ご高齢の方にとって、昔を思い出すことは、脳機能の活性化に繋がるといわれていて、回想法という心理療法もあるほどです。

回想法・・・1960年代にアメリカの精神科医、ロバート・バトラー氏が提唱した心理療法。過去の懐かしい思い出を語り合うことで、脳が刺激され、精神状態を安定させる効果が期待できます。

 

そして、私たちのそういった気持ちと、高齢者の方々を、「特別養護老人ホーム 壱岐のこころ」の施設長である、鬼塚さんが結びつけてくださいました。

今回は、「壱岐のこころ」に岩崎書店の児童書を200冊、実験的に置かせてもらった事例のレポートをいたします。

 

前回のほほえみの園の山田さんとのご縁も鬼塚さんからいただきました!

www.iwasakishoten.site

 

自然豊かな壱岐島にある「壱岐のこころ」

「壱岐のこころ」さんは、長崎県壱岐島にある特別養護老人ホームです。

長崎県壱岐島は、博多港から高速船で約1時間10分の、人口約2万7千人の島です。九州北部の佐賀県東松浦半島の北西、約20kmに位置しており、神社庁登録の神社がなんと150社あります! そういった背景もあり、近年はパワースポットとしても、注目されています。

壱岐のこころ 壱岐島 岩崎書店のブログ 絵本 特別養護老人ホーム

壱岐のこころ 壱岐島 岩崎書店のブログ 絵本 特別養護老人ホーム
自然豊かな壱岐島にある「特別養護老人ホーム 壱岐のこころ」。こちらは 、壱岐市が44年間運営を行っていところを、2015年10月1日に社会福祉法人壱心会への経営移譲に伴い民営化されました。

 

壱岐のこころ 壱岐島 絵本 岩崎書店のブログ
岩崎書店の絵本や読み物を、「いわさき・ふみくら」として、壱岐のこころ入り口正面に設置していただきました。新たに椅子やテーブルも設置し、交流スペースとしてご活用いただけるとのこと。10月竣工予定の新しい施設には、大きな図書ギャラリーが開設されます。

 

壱岐のこころ 壱岐島 絵本 岩崎書店のブログ
現施設からすぐ近くに、新しい施設を建設中。移転は11月を予定しています。

文化発信の場所

近年、特別養護老人ホームを新設する際、地域交流スペースを設けることが必須条件となりました。「壱岐のこころ」は、新しい建物を建設している最中。地域交流スペースとして図書ギャラリーを開放する予定です。

「壱岐のこころ」の施設長鬼塚さんに、児童書と老人ホームの関係について、お話をお聞きしました。

 

── 地域交流スペースを図書ギャラリーにした理由を教えてください

地域交流スペースが必要とされている今、ただスペースとして場所を作るだけではなく、そこにコミュニケーションがとれる媒介があったらいいなと考えていました。その中で図書ギャラリーを作るというイメージを持ちました。
また、面会にいらっしゃる方にも喜んでいただけるように、小さいお子様も遊べるような空間にしたいと思っています。

  

──なるほど。本がコミュニケーションの媒介になるということですね

そうですね。また、「壱岐のこころ」はサービスを提供するだけではなく地域のプロデューサーの役割も果たさないといけないと思っているんですね。地域の方がいつでも集えるような、地域ケアの拠点にならなくてはいけないと思っています。そういった中で、文化的な活動も地域と一緒に出来ないかなと思い、本が適任ではないかと思ったんですね。

また、将来的には壱岐の人が描いた絵を飾るなど、文化的発信のような役割も担っていきたいです。 

壱岐のこころ 壱岐島 絵本 岩崎書店のブログ
岩崎書店の絵本の絵を額装したものを寄贈させていただきました

 

── すぐ近くに介護の専門学校もありますね。

岩永学園グループ 学校法人岩永学園「こころ医療福祉専門学校壱岐校」も運営していて、介護士の育成を行っています。

2017年の4月に開校しまして、2年生は14人のうち8人が留学生で、今年度入学の1年生は、26人のうち17人が留学生です。皆寮生活を送っていて、とても壱岐での生活を楽しんでくれているみたいで、母国には帰らずそのまま壱岐島で就職を希望している学生がほとんどです。留学生が日本語を勉強するときに、絵本や児童書が使えるかもしれませんね。

 

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壱岐のこころ 壱岐島 特別養護老人ホーム 絵本 岩崎書店のブログ鬼塚さん(中央)と留学生のみなさん 自国の料理を作って交流を行っています。とても仲が良さそう。

出典 http://hiroshionizuka.hatenablog.com/entry/20171011/1507648605

  
──ご利用者の方は絵本や児童書をどのように活用されると思いますか?

本を真ん中において職員と一緒に読書会ができるんじゃないかなと思います。絵本や図鑑を見ながら昔の話しをしたり、読み聞かせ係を決めるというのもいいかと思います。役割があるというのは気持ちにも、脳にもよい影響を与えるのではないかと期待しています。 

 

壱岐島の魅力

壱岐島の観光にも連れていっていただきました。

鬼塚さんの「壱岐を好きになって帰ってもらう」という言葉通り、壱岐島の魅力にすっかり魅了されてしまいました。

とにかくみなさんにお伝えしたいことは、「魚が絶品!」ということです。壱岐島出身の方は、ここで取れた魚しか食べられないそうです。あまりの美味しさに、その気持ち、納得です。

そして、壱岐島は神社庁登録の神社がなんと150社! 島全体がパワースポットとしても注目されている中で、厳かな気持ちで足を踏み入れたのですが、第二の故郷と思えるような、穏やかな気持ちになれるとても不思議な島でした。

今回滞在時間が短く、ここで紹介できる場所はほんの一部です。是非みなさまも、実際に訪れてみたください! あいにくの曇りですが、晴れると海が更に青く光るそう。

壱岐のこころ 壱岐島 特別養護老人ホーム 絵本 岩崎書店のブログそっぽを向いた猿にそっくりです

壱岐のこころ 壱岐島 特別養護老人ホーム 絵本 岩崎書店のブログ

壱岐のこころ 壱岐島 特別養護老人ホーム 絵本 岩崎書店のブログ月讀神社は神道の発祥の地という説もあるくらい由緒正しい神社です

壱岐のこころ 壱岐島 特別養護老人ホーム 絵本 岩崎書店のブログ

壱岐のこころ 壱岐島 特別養護老人ホーム 絵本 岩崎書店のブログ壱岐島出身の方は壱岐で取れた魚しか食べられないそうです。あまりの美味しさに納得しました。

さいごに

今回は長崎県壱岐島の「特別養護老人ホーム 壱岐のこころ」にお邪魔をしてきました。

「絵本を高齢者の方に読んでいただきたい」という希望を叶えてくださった、施設長の鬼塚さん。一日行動を共にする中で、鬼塚さんの壱岐島への愛情や、「壱岐のこころ」のご利用者を想う気持ちが伝わってきました。

そういったところから、島の人たちにとって鬼塚さんは、老人ホームの施設長である以前に、島を一緒に守っていく仲間なんだと感じました。

また、観光の後に、「壱岐のこころ」のリーダー会議を見学させていただきました。とても本格的な内容で、経営学の知識を、日々の業務に落とし込んで行動されている姿勢に、職員の方の日々の努力を感じました。 

インタビュー中に仰っていた、「文化発信の場所でありたい」というお言葉。これからも児童書の出版社として、一緒に作り上げられたらと思っています。

それでは最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

岩崎書店はこれからも高齢者の方に、絵本を読んでいただくべく活動をしていきます。 

 

投稿者 大塚芙美恵

ジャン・ヴァルジャンが狼に? 五島夕夏さんの描くレ・ミゼラブル 

こんにちは。岩崎書店ブログ管理人の大塚芙美恵です。

今回は、2月18日に「築地本マルシェ」にて行われた、講演「絵本作家 五島夕夏 絵本について語る」にお邪魔させていただきました。

 

「築地本マルシェ」とは、築地本マルシェ実行委員会が主催する、「さまざまな読書の楽しみ方をお伝えするブックフェア」で、今年の2月17日(土)、18日(日)にベルサール汐留にて開催されました。各社の厳選本の展示、販売や、人気作家のイベントなど、読書に関する様々な魅力を発信するプログラムが開催され、来場者数は4000人を超える盛り上がりに!

五島夕夏 築地本マルシェ レ・ミゼラブル 岩崎書店のブログ

 

五島夕夏 築地本マルシェ レ・ミゼラブル 岩崎書店のブログ

 

そして、今回講演にご登壇された五島夕夏さんは、1992年生まれの25歳、新鋭の絵本作家としてご活躍されています。

お話の中心となる絵本は、岩崎書店より、今年の1月に発売された『レ・ミゼラブル』。五島さんの2作品目となります。

「お話をする場に慣れていないので、今日は11人の方とお茶をするような気分でお話してます」と仰っていた五島さん。絵本制作の裏話など、貴重な話を聞くことができましたので、そちらの様子をお送りします。

 

五島夕夏 築地本マルシェ レ・ミゼラブル 岩崎書店のブログ

五島夕夏(ごとう ゆうか)
1992年7月18日生まれ。桑沢デザイン研究所卒。

学生時代に出会ったロシアの絵本に大きく影響を受け、絵本画家を志す。

2017年に初の絵本『よんでみよう』(岩崎書店)を刊行。その後2018年の1月に、2作目となる絵本『レ・ミゼラブル』(共に岩崎書店)を刊行。
現在はフリーのイラストレーターとしても活動中。

 

レ・ミゼラブル 前編 (ROKUYON)

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デビュー作の『よんでみよう』

私が絵本作家を目指した理由は、もともと絵本が好きだったからです。周りの子は、小学生に上がると、徐々にマンガや小説に移行していきます。でも私は、ずっとずっと絵本が好きなままでした。

昨年出した『よんでみよう』という絵本があって、その話しを少しだけしたいと思います。

五島夕夏 築地本マルシェ レ・ミゼラブル 岩崎書店のブログ

この絵本は、0歳から3歳児向けの絵本で、動物たちのお尻がたくさん出てきます。動物たちに名前を呼びかけると、その動物たちが振り返るというストーリーになっています。こんな感じで、白菜みたいなおしりだなと思って、名前を呼びかけると、リスが振り返ります。

 

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五島夕夏 築地本マルシェ レ・ミゼラブル 岩崎書店のブログ

五島夕夏 築地本マルシェ レ・ミゼラブル 岩崎書店のブログ 

 

よんでみよう

よんでみよう

 

 

『レ・ミゼラブル』が絵本に!?

今年の1月に発売した、2作品目の『レ・ミゼラブル』は、あかちゃん絵本の『よんでみよう』とはまた毛色が変わって、100歳でも200歳でも読める一冊になっています。

実は、この絵本を作るまで、私は原作を読んだことがありませんでした。絵本を作るにあたって、初めて岩波少年文庫を読んだのですが、とても面白いという大前提の感想はありつつも、ものすごく難しかったんです。私はまず、カタカナの名前が覚えられない、地名が覚えられない、時代が行ったり来たりする内容なので、今何年にいるのかわからないという状況でした(笑)

 

五島夕夏 築地本マルシェ レ・ミゼラブル 岩崎書店のブログ


1日10ページずつ読んでも、すごく分厚い本なので、なかなか読み終わらないんですよね。それで、岩崎書店の社長の岩崎夏海さんが、この本の編集をしているのですが、岩崎さんは、昔1度読んだことがあるだけで、5分くらいの間に頭の中で構成を考えちゃうんですよ。それで、A4の紙一枚取り出して、ばーっと構成を描いてこれでどうですか? って言われるんです。私が一ヵ月かかって読んで、それでも理解できていないものを、岩崎さんは5分で編集をしてしまう。この人が編集でよかったなって思いました(笑)

実際に絵を描き進めながら、私が難しいなと感じた物語の場面には、特に注意を払ったり、とにかくわかりやすく、簡単に表現することを意識しました。

そして、『レ・ミゼラブル』の内容で衝撃的だったことがあります。今の小説は、最初悪かった人が良い人になったり、良い人が実は悪い人だったというストーリーがとても多いと思うんです。しかし、この作品に関しては、良い人はずっと良い人で、貧乏な人はずっと貧乏で、悪い人は、ずっと悪いまま死んでいったりするんですよ。それが結構むごくて。時代も国も違いますが、私はそれは、すごくリアルだと思いました。また、登場人物1人1人の人生を、きちんと最後の「死」まで追いきる、というのを気持ちいいぐらいにやってくれるのが『レ・ミゼラブル』です。

 

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憧れのアイビーリーグに入るには? 海外大学進学塾Route Hに聞いてみた

こんにちは。岩崎書店ブログ管理人の大塚芙美恵です。

 

近年、海外の大学入試を希望している高校生が増加しているということはご存知でしょうか?

独立行政法人日本学生支援機構が実施している、「協定等に基づく日本人学生留学状況調査」によると、昨年の日本人留学生数が60,643人で、一昨年と比べると6188人増えています。

平成28年度協定等に基づく日本人学生留学状況調査結果 - JASSO

 

そこで海外大学入試の「今」を知るべく、アメリカのアイビーリーグ、スタンフォード大学、MITを始めとする米国トップ大に、約60名の合格者を送り出している、海外大学進学塾のRoute Hさんにお話を伺いました。

※アイビーリーグとは アメリカ北東部に位置する8つの私立大学からなる連盟。構成大学はブラウン大学、コロンビア大学、コーネル大学、ダートマス大学、ハーバード大学、ペンシルベニア大学、プリンストン大学、イェール大学。名門大学群としてその名を馳せています。

 

Route H
ベネッセが運営を行う少人数制指導塾であり、「海外進学」に挑戦する中高生を支援している。
近年、高校生が進学先として海外トップ大学を視野にいれる動きが顕在化している中でトップ大学志望者に対し、必要な情報と適切な指導を提供するために2008年5月に開校。

Route H - 海外トップ大進学塾 Route H

 

今回お話を伺ったお二人

株式会社ベネッセコーポレーション Route H責任者 尾澤章浩様

株式会社ベネッセホールディングス 広報部 齋藤尚美様

インタビュアー:岩崎夏海


増加する海外大学入学希望者

 ──海外の大学に入学したいという高校生は増えていますか?

Route Hを2008年から立ち上げて、ほぼ10年近くなりますが、問い合わせや生徒数は増加しています。


──Route Hさんは、海外の大学の中でも主にどちらの大学のサポートを行っていますか?

特にアメリカのハーバード、イェール、プリンストンなどのアイビーリーグ。
その他スタンフォード、MITなどの私大を第一志望にする方の支援ですね。もちろん国内大を併願する場合もあります。
また、一部イギリスのオックスフォードやケンブリッジ、シンガポールのエールNUS、ニューヨーク大アブダビ校ほかの併願も、少しお手伝いしています。

Route H 岩崎書店のブログ ベネッセ株式会社ベネッセコーポレーション Route H責任者 尾澤章浩様

──ベネッセさんがRoute Hを始められたきっかけを教えてください

弊社の営業担当者が、学校の先生方と日々コミュニケーションを取る中で、海外大学入試を希望している高校生の増加を感じていました。そういった中で、弊社の模試の志望大学記入覧に、「海外大学」の項目をいれた際、想像していたよりも希望者が多かったんですね。世の中的にも、少しずつグローバル人材を育てる、ということが言われてきた頃でした。

そういった中で、情報の少なさやお金の問題で、海外大学入試を断念してしまうのではなく、正しい選択肢と、正しい情報を提供して支援するのが、教育の会社としての私たちの役割と思い、2008年にRoute Hを開校しました。

 

──それは、ある種の社会的な意義を見出されてということですよね。Route Hさんの対象年齢を教えてください

中高生対象です。ただし、実際に勉強の指導を始めるのは、高校2年生後半から高校3年生が多いです。一方で、海外トップ大進学イベントや短期講習の受講は一部中学生の参加も可能です。Route Hの卒業生に、海外大学での生活の話をしてもらうこともあります。

また、ベネッセの予備校のお茶ノ水ゼミナールで、中学生からTOEFLやSATを勉強するコースを6、7年前に立ち上げています。他にも短期留学や自治体のプロジェクトも手伝うなど様々な形で海外大学進学へ繋がる取り組みを行っています。

www.ochazemi.co.jp

www.benesse-kaigai.com

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桃太郎は社会を映す鏡!? 空からのぞいた桃太郎刊行記念イベント 後編

こんにちは。岩崎書店ブログ管理人の大塚芙美恵です。

紀伊國屋新宿本店にて、昨年の10月に行われました『空からのぞいた桃太郎』の刊行記念トークショーの様子を前、後編でレポートしています。

 

前編はこちら

www.iwasakishoten.site

 

前編に引き続き、影山徹先生と弊社CEO岩崎夏海、そしてスペシャルゲストの上橋菜穂子先生のトークをお送りします。

影山先生の緻密な絵はどのように描かれているのか、上橋先生の『鹿の王』の制作秘話など、盛り沢山の内容です。それでは早速ご覧ください。

 

影山徹

1958年青森県生まれ。東京デザイナー学院卒業。印刷会社、デザイン事務所を経て82年よりフリー。90年講談社「年鑑日本のイラストレーション」新人賞。07〜08年『薄暮』篠田節子(日本経済新聞夕刊)09~10年『氷山の南』池澤夏樹(東京新聞朝刊など)12~13年『アトミックボックス』池澤夏樹(毎日新聞朝刊)の挿絵。ピンポイントギャラリーなどで個展。書籍の装画を中心に活動。

 

上橋菜穂子

作家・文化人類学者。
東京都生まれ。香蘭女学校高等科卒業。立教大学文学部卒業。
立教大学大学院博士課程単位取得(文学博士)。専門は文化人類学。
オーストラリアの先住民アボリジニについて研究している。
現在、川村学園女子大学特任教授。
1989年『精霊の木』で作家デビュー。主な著書に『精霊の守り人』を初めとする「守り人」シリーズ、『狐笛のかなた』、『獣の奏者』、『鹿の王』などがある。

  

きびだんごは一億イヌー?

 影山さんの絵には、緻密な設計があるという気がしますが、いかがですか?

 僕は、下書きを設計図のように描きます。なので、下書きを描き終えたらほぼ完成絵と同じです。

 寸分たがわない形で、あとは塗り絵だそうです。

 やはりそうですか。とても構図がしっかりしているな、と思っていたので。

 それが『空からのぞいた桃太郎』の構図も、わずか二週間ほどで描いてくださったんです。

 岩崎さんから桃太郎のお話をいただいたときに、桃太郎を俯瞰で見るという話になりました。打ち合わせの段階で、見開き15枚のイメージがほぼ決まり、打ち合わせの帰り道に、頭の中で絵の構想が全てできあがりました。

 

岩崎書店のブログ 空からのぞいた桃太郎
このように俯瞰で描かれています

 すごいですね!

 家に帰ってラフを描いて、すぐに岩崎さんに送りました。

 私と影山さんは、桃太郎に対する思いがシンクロしていて、お互いに前段の知識もあったので、打ち合わせも極端に少なくて済みました。それから『空からのぞいた桃太郎』の絵をじっくり見てもらうとわかりますが、同じ絵の中に違う角度の絵を描いています。パースをゆがめながら描いて、気持ち悪くならないというのは、高い技術が必要なんですよね。

 おじいさんおばあさんのページは、真上から見たところですが、旅に出るページは少し斜めからになっています。斜めから見せないと、背景の向こう側が見えなくなるので、アングルを変えています。

岩崎書店のブログ 空からのぞいた桃太郎真上からのアングル

岩崎書店のブログ 空からのぞいた桃太郎少し斜めからのアングル

 そういった工夫を気づかれないように行うというのが、とても高度なテクニックで、そのことをみなさんに伝えたいですね。

 『空からのぞいた桃太郎』ですごく特徴的だと感じたのは、世界が主人公で、人は小さいんですね。上から覗いた形になっています。

影 そうです。よくある指摘として、周辺に1人も住民がいないというものがありますが、僕が考えた設定は、それぞれに国があるんですね。鬼ヶ島までの道のりに、犬の国、猿の国、キジの国があります。そういった中で桃太郎は、おじいさんとおばあさんの国で育てられました。おじいさんおばあさんの国は大国である一方で、周辺の犬の国はすごく貧しく、きびだんごが犬の世界の通貨で、一億イヌーといったイメージです。

 一億イヌー(笑)

 きびだんごが、いわゆる一生暮らしていけるくらいの価値なので、きびだんご目当てに犬から近寄ってくるんですよ。重傷をおってもいいけど、一生暮らしていける資金をもらえると。その次の猿もですね。

 一億サルーなんですね(笑)

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